ポンチ イロイロ

模型屋さんは案外ポンチ持ち?なのだ

BOEHM ガスケットパンチャー

丸い何がしを切り出そうと思うと
一番に思いつくのが サークルカッター コレはコレで正解なんだけども
サークルカッターでは難しいサイズや仕立てっていうのがありまして
例えば大きさ 直径が10mmを超えればサークルカッターはその威力を大いに発揮できるものの
10mm以下のサイズとなるとそれ相応の道具とウデが必要になってきます
また、コンパスはその構成上どうしても中心に穴が開くコトになるため
メーカー側もそれに対応したアイデアを道具に反映させたりもしてますが
コレまた使い方にコツが必要 また、作れるサイズにも制約アリ(主に小径側でね)
こんな場合
模型屋さんはいわゆる 革ポンチ を使うのだな
あ 当方の場合だからして、みんながみんなってワケではナイっすけどね (笑)
そんなワケで我が愛しき工房に潜むポンチ(逆さから読まないコト)達を
毎度お馴染みの独断と偏見目線でご紹介

ストロングツール 取替式パンチセット ・ ダイヤティー穴あけポンチなど (1~10mm)

ストロングツール

コチラ北海道では比較的入手しやすい部類の差し替え式ポンチっすね
ウチのはストロングツール製の2種で、2.0・2.5・3.0・3.5・4.0・4.5mmの組み合わせ(05493)のヤツと
5.0・5.5・6.0・6.5・7.0・8.0mm(05494)っすね
この手の差し替え式は用途によってイロイロあるよーで
いわゆる革モノ系だとハトメ等のサイズに特化した組み合わせのヤツが便利かもね
模型屋的には0.5mmピッチが何かと使いやすいんでコチラをチョイス
切れ味は取り立てて良くも悪くも無いって感じですが
下記する手入れをすることで良好な切れ味になりましたね

ちょっとしたカスタム?

コイツを入手した際、イチバン気に入らなかった点は
大きさがビミョーなのにも関わらず、サイズの刻印がされていない点 コレは何気に不便なんだよね
だもんで、念入りに脱脂した後ジャマにならないトコにステッカーを貼り付けました
あとはマグネット式の簡単なビットホルダーを自作 コレだけでもすいぶん使い勝手がいいっすよ
差し替え式はたいてい横穴が開いていて(右写真)、細棒などを差し込んでキッチリ締めこむよーなんだけど
ウチではどちらかというと緩めるトキに使うかな
手で軽く締め付けただけでも打ち込んでるウチに強く締まるコトがあり
手ヂカラだけじゃ緩まなくなるのだな そんな場合にも有効っす

ノーブランドのポンチ

上の差し替え式にないサイズを補填すべく入手したメーカー不明のポンチ(1・1.5mm)
ノーブランドながら切れ味及び仕立てはすこぶる良好で、値段もそこそこした記憶があります
なんていうかこう、ワークへのアタリが柔らかい印象で、ウチの業務に適してる印象っすね
ゆくゆくはコチラで一通りサイズを揃えたいトコロ
そーいえば最近はホビーメーカー(ハセガワなど)からもポンチが出てるよーで
いずれその使い勝手を試してみたいトコロですが、それはまたそのうち

ダイヤティー

コチラもまたクオリティには定評のある高芝ギムネ製作所(ダイヤティー)の穴あけポンチ
そこそこするだけあって、切れ味は申し分ありませんね
個人的な印象としては、硬めのワーク(革やゴム等)ほど威力を発揮する印象っす
コレは刃先の立て方によるんだと思うんだけど、厚みのある胴体に角度を与えて刃が付いてるからなのではないかと
模型屋目線での弱点としては
この刃先が切り抜かれた側のワーク(穴が開いた側)の周囲をどうしても押しつぶすカッコウになるんで
場合によってはディティール作りの障害になるのだな 逆に捉えると、窪み穴?っぽい表現を目指すなら使えるね
コチラ、サイズも1~50mmと多いんだけど(0.5mm刻みはナシ)、全部揃えたらいくらかかるんだ?・・・
とはいえ、決め寸法がありなおかつ永く使いたいなら断然おすすめっす

アイデアはスバラシイ!しかし・・・ E-Value 差替式皮ポンチセット ESK-8

E-Value ESK-8

写真映りは悪くない(実物はイマイチ)ケースに収まったポンチのセット
モノは E-Value 差替式皮ポンチセット ESK-8 ってヤツで、ある特徴がウリのポンチ

ESK-8 先端の状態

その特徴ってのが左写真 端的に言うと、センターが出せるポンチなのだ
このアイデアはスバラシイっす しかしながら、肝心の刃物としてのクオリティはイマイチ・・・
刃先がまぁまぁガタガタ なのだ(笑)
ガタガタに加え、刃先もかなり寝てるため厚手のワークを抜くにはそれ相応のチカラを要します
手入れをしてかなりマシな状態にはなったんだけど、アイデアがいいだけにもったいないね

手入れ

アイデアのギミック部もまぁまぁ作りが粗めなんで、そそくさと分解整備しました
先の針はバネで伸縮するんだけども、入手当初はゴリゴリガタガタという動きでかなり不快でした
だもんで、まんべんなく塗布された防錆剤を念入りに除去し、適宜注油をして組み直し
でもってその印象は、コリコリカタカタくらいに進化 (笑) 精度と構造を思うとコレ以上は望めないかなぁ

センター出しの効力

センターが出せるメリットは上写真のとーりなんだけども
最初に大きい方の円を打ち抜き、後に小さい円を打ち抜けるのだな つまりセンターの出たリング形状にできるワケ
セットに組まれてるサイズ内(5・8・10・12・15・20・25・30mm)の組み合わせに限定されますが
アイデアはホントにいいと思います
但し、先述した針部分に多少のガタがあるため、さほどセンターが出ないという・・・
もう少し手をかければイケそうな気もするんだけどなぁ

見てくれは一流?

手がかかる子ほどカワイイ・・・ ってワケではありませんが
さしあたり、使う気になる たたずまい から整えましょうってコトで (謎)
ガサい木箱をバラシ、軽く研ぎ出してからの塗装 なんだかジュエリーボックスみたいになっちゃいましたが・・・
刃先もかなり攻めた研ぎを施したため、気付けばスポンジだって切り抜けるスペックに昇進
あとは針軸にスライドメタルでも仕込めば・・・(違)
アイデアとクオリティのバランスが整ってない カワイイ ポンチっす オススメはしませんがね (笑)
先述したとーり、刃先が寝てる分道具としては丈夫だから
なんとなくセンターが出せて、硬いワークに対してガツガツ使い倒したいっていう用途ならアリかも

コレぞ理想? BOEHM ガスケットパンチャー (JLB250P)

BOEHM JLB250P

とりあえず1~10mmまでのスタンダードなポンチと
若干イレギュラーなタイプのセンター式ポンチの組み合わせで30mm径までは守備範囲となり
業務上の不備はなかったんだけども、最近の数物件でリング形状を必要とする機会があり、何やかんやとてこずったため
改めてポンチを物色していたトコロ、何とも興味深いツールを発見!
それが上写真のヤツでBOEHM(ベームって読むのかな?)っていうおフランスの工具
ウチのセットものはまぁまぁ高価なんだけど、運命のいたずらですかね?在庫処分で半額以下ってのに遭遇!
コリャ間違いなくコイツに呼ばれたね (笑) そんなワケで晴れて我が工房のツールとしてやってきたのだな
ウチのセット(JLB250P)では2~50mmまでが守備範囲なんだけど
よくよく並びを見ると(右写真)途中のサイズが飛び飛びになってるね

JLB250SPの中身

このBOEHMって会社、立派な企業ながらwebサイトにはなかなか辿り着けませんでしたね (笑)
で、どーにか見つけ出して覗いてみると、基本的にはポンチ(ガスケットパンチャー)だけを製造してる会社のよーで
ある意味硬派 (笑)
日本に代理店はあるんだけども、欠落してるサイズを追加しようと思い
webサイトの問い合わせフォームから送信したトコロ、なぜか自分にメールが届くという・・・
どーやらサイトの管理ができてないよーですねぇ (笑) ま 電話すればいーんだけどね
何はともあれ、コイツの魅力を紐解いてみましょう

コイツの要

ポンチのパーツとしては見慣れないこの円盤(左写真)、コイツがこのキットの肝でして
どういった使い方かと言うと・・・

しくみその1

10mmまでは円盤の中心軸にネジ込む使い方で(右写真)、コレはまぁ 差し替え式のポンチと一緒だね
で、12mm以上のサイズは円盤の外周にある溝へ適宜ハメ込むのだな
でもってコレがどうすごいかと言うと・・・

スバラシイ!

サイズ選択には一定の制約はあるけど、コレらを同時に装着できるのだな
シンプルな考え方ながらもコレはスバラシイ!
つまり、センターがちゃんと出たリング形状が任意に作れるのだ! ま 左写真は若干意味わかんないけどね (笑)

製作例

で、ゴツくて重いハンドルに装着したら、トンカチでゴン!
シートガスケット(1.0mmでテスト)はモチロン、5mm厚のゴム板もいけましたね
厚い板の切り口垂直度はトンカチの使い方が影響するため、不慣れなうちは斜めったりしますが
コツをつかめばうまく出来るよーになります
しかしながら、軟性のあるゴム類は押しつぶすよーに切るため、完全な垂直には至らないかな
コレは仕方ないかなぁ それでも ど真ん中 に穴が開けられるのはやはり魅力っす
ちなみにガスケット程度の厚みなら何ら問題なく、売り物のよーな仕立てになりますね

この道具を調べていたトコロ、数少ないユーザーさんのサイトに行き着きまして
当方同様にとても重宝してるっていうコトなんだけども、その使い道ってのが古いオイルランタン
そこに集う方々はどーやらオールドランタンを愛してやまないようで
既に廃盤となった補修部品(パッキン等)の自作で大活躍らしいのだな スバラシイ
あと20年くらい経ったら
当方も泣きながらVmaxのガスケットとか作ってるんだろうなぁ・・・(笑)

超個人的?ポンチとの付き合い方

防錆剤の除去

コレはBOEHMに限ったハナシではないんだけども、鉄モノの工具は程度の差こそあれ
売ってる段階では大体表面に錆を防ぐための防錆剤ってのが塗布されていて
コレのおかげで新品時状態が保たれているんだけども、コレは言い換えると道具が 仮眠 してる状態
だもんで、本来の機能を発揮させようと思うならその眠りから覚ます必要アリ
具体的にはパーツクリーナー等で表面を清掃し、防錆剤をキレイに除去
で、手持ちの潤滑剤(ウチではワコーズのメンテルーブ)を薄く塗布 あくまで薄くね
左写真の右が手入れ前の状態、左が手入れ後 目覚めた感 あるでしょ?
表面のべとつきがナイ分、刃物に関しては切れ味も増します

刃先を研ぐ

コレは必ずしも必須作業ではありませんが、切れ味をアップさせたいトキ
当方がいつもやってる作業っす #2000程度のサンドペーパーに潤滑剤を乗せ、刃先をシャカシャカいきます
ウデのある方ならもっと粗めの番手で攻められるでしょうけど、当方はさほど上手じゃないので
失敗して刃こぼれさせないよう、#2000としてます

スポンジだって切れる

それでも刃先が決まると、ポンチの先端パーツをクルクル押し回すだけで柔らかいスポンジでも切り抜けます
だもんで、研ぎがうまくいったトキは、ケッコウ快感アリ (笑)

応用?

BOEHMの便利さがハッキリするほどに
トンカチでチカラ任せじゃなく、プレス等でスマートに使いたいっていう欲がでてきました
まぁ ホンキのプレスはさておき、ウチにはボール盤があるワケで
このしくみを使わない手はないのだな しかしながら、BOEHMの軸径がなかなか特殊で
ホームセンターどころかweb上ですらなかなか見つからないサイズとピッチ・・・
で、何かないかなぁと作業場のあらゆる棒材を挿し続けた結果、上写真の棒に辿り着いた!
ケッコウどこでも買える12mm径のABSパイプなんだけど
コレを何も考えずにねじ込んでいくと、ほんのりネジ山を形成しつつ潜ってく! コーフンしたねぇ
ココはボール盤のチャックが保持してくれてればいい場所なんで、さほど強度は重要じゃないっす

使い勝手サイコー

で、ボール盤のチャック先端に円盤の座面が当たるように固定すれば
簡易プレス機の完成! ちなみにフツーのポンチでもトーゼン可能っす
コレで深夜でもトンカチの騒音を出すことなく、気が済むまで作り続けられるのだ!
あと、トンカチの場合と違い均等にチカラをかけられる分、仕上がりも向上します
あ 刃先は回転させなくていーです (笑)
回転させる前提で作られたダイヤティーのサークルポンチなら回しながらいけそーだねぇ

最後に書くコトでもないんだけど
ポンチを使うにあたっては、下で受ける台座の具合がケッコウ重要で
いわゆるカッターマットのよーな柔らかいモノだと好結果が得られにくいっすね
木材でもSPF材(ツーバイ材)みたいな軟材じゃなく、タモくらい硬くないとダメかなぁ
専用の台座として売られてるのは硬質のナイロン板みたいですが、まぁまぁ高価
さほど多用しないなら、使い古しの樹脂まな板なんかがオススメ
まな板なら100均にもあるしね ちなみにウチではハギレのPタイルを使ってます
ま 一般家庭にPタイルのハギレはナイだろーから (笑)、まな板イチオシ!

それにしても BOEHM・・・
もっと世間に認知されてもいいツールだと思うなぁ ってか自分が知らなかっただけか?

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