woodcock GT スプラグ化への道
ハナシは2018年まで遡りまして・・・

2018年と言えば7年前か・・・
この年の5月くらいに、どーやらやさぐれたイキオイで買ったと思われる(笑)
セルモーターの交換(流用)をしたんだけども
購入に際しスペックデータを確認すべく、とある車両のサービスマニュアルを入手
ほほう Vmaxの出力0.6kw(ミツバ229C)に対し
コイツは0.8kw(ミツバSM-13)でして、ウワサ通り?パワフルではあるのだな
ちょい気になる・・・ イヤ、スゲー気になるw

このアタリはVmax乗りの方ならご存じのとーり
ベースエンジンは共通のロイヤルスターっすね
共通とはいえ、パッと見はホントに同じかぁ?って思えるくらいに意匠が違います
排気量が大きくなったからなのか、コイツのセルモーターがちょいパワフル
ま このアタリも周知のオハナシだとは思うのですが
業務のストレスを口実に、エイヤっと購入したワケです
当時はまだイマほど高価じゃなかったしね

それはさておき
当時、ロイヤルスターのマニュアルを眺めていてふと目に留まった件
スタータークラッチ周りのたたずまいがどーも見慣れない・・・

特にココっ
なんだコレ?・・・ なんなのよコレっ
ってな疑問はありつつも
それ以上掘り下げるコトはないまま時間は流れ
2年前くらいかな? PBC大将から定期安否確認&近況報告がありまして
何やら愛機のスタータークラッチを巡り、画策&奮闘してる模様
パイセンの愛機(空冷GPz1100)もまた
Vmax同様のワンウェイクラッチが採用されてるんだけども
コイツをスプラグ化しよーと頑張ってるんだよね とのコト・・・ へ?
ん? すぷらぐ って何さ?
でもって添付されてきた写真を拝見しますと・・・
へぇ~ コレがスプラグっていうのねぇ・・・ ん ん? アレっ?
コレ、どこかで見たことあるぞっ・・・ あ ロイヤルスターのアレだっ
5年前の淡い記憶が一気に蘇ったのであります

ってコトは・・・
Vmaxにもスプラグとやらの道がもしかしたらあるのかしら? ら?
そこからの重力加速度?はマシマシで(笑)
できるかどーかの確証もナイまま
まずはロイヤルスターのマグネットローターを入手するぞっていう迷走の開始
トコロが日本国内では中古の出物が無かったため
なぜだかたんまり出品されてるアメリカからコイツはやってきました(写真 右)
ホントに同等の空間に収まってるのか疑いたくなるほど
ロイヤルスターの方がデカくて重い件・・・

入手の目的は、スプラグの収まり方確認や寸法の確認等々
マグネットローターの入手と共に
新品のスプラグクラッチとアイドラーギアを入手しまして
コレらの情報を基に、毎度お馴染みな作図&妄想(笑)
Vmaxのマグネットローターなども追加作図しつつ
画面上でスプラグをクルクル回してみますと・・・
を このアタリなら6本締めの穴を開けても理論上はイケる・・・ ハズ?
っていう業務からの脳内逃亡(笑)をしつつも
当時ヤマシギ号のスタータークラッチは交換したばかりだったので
機会があればそのうち何て思いつつ
再び2年の醸成・・・ という名の放置

ハナシを戻しまして
V-max(左)とロイヤルスター(右)のマグネットローターを横から見た感じ

続きまして、ワンウェイクラッチを仕込んだ状態で上から見た感じ
ワンウェイクラッチの収まり方もさることながら
ロイヤルスター側の肉厚感がもう・・・
何の参考にもならないとは思いますがw
興味本位で両者の重量(マグネットローター単体)を計測してみますと
重量級と思ってたVmax(3.4kg)よか、ロイヤルスターの方がかなーり重い(5.8kg!)
ココだけ見てもエンジンの性格がまったく違うってのはよーく分かりますな
っていうか・・・ こんなのが左下でブンブン回ってるのよね・・・ スゲーな

それはさておきスプラグである
Vmax純正だと3つの玉コロに始動の全てを委ねるワケですが
スプラグでは18個の接触面がお相手・・・
3つだとひとつがサボるだけで始動がままならなくなったりしますが
18個あれば・・・ ひとつふたつサボってもっていうね(笑)

モノは2ピース構成で
スプラグ本体とハウジングね 純正部品ではアッシィとなりますな
スプラグの構造自体は各自調べて頂きつつも
ざっくり言うと
玉コロに対してコイツは楔型(くさびがた)の部品で構成されてるんだよね

もひとつ忘れてはならないのがアイドラーギアね
外径及び歯数(76T)と厚みは共通、鼻先の奥行きも共通
しかしながら
この鼻先の外径がVmaxよかロイヤルスターの方がわずかに細いのよ
つまり、Vmaxのアイドラーギアはロイヤルスターのスプラグには入らないので
スプラグとアイドラーギアはセットで交換する必要があるワケ

また、Vmaxのアイドラーギアは鼻先端面がフラットなのに対し

ロイヤルスターのはオイルの通り道なのかな?溝が切ってありますね
ちなみにこの鼻先に接するワッシャは共通っす
とかなんとか
ざっくりと予備情報をお届けつつ
放置してから約2年後、いきなりコトが動き出したオハナシはココからっす
加工をPBC大将に依頼するとして
予備的なマグネットローターがあれば、そちらに加工してもらってる間も
ヤマシギ号で走ることはできるのだな・・・ そっか
ってコトで2ヶ月くらい前
某オクにて上物のVmax用マグネットローターを発見!
情報を見る限りでは、ヤマシギ号と同年式の実働車両から取り外したモノらしい
で、手元に届いたモノを見ますと・・・
ヤマシギ号のヤツよか状態がヨカッタ件(汗)

あとはPBC大将のタイミングで・・・ なんて思ってたら
お盆休みの直前には全てのネタがPBC大将の元へ・・・
ココからはしばし大将から送ってもらった写真でオハナシを進めていきましょう
上写真は過去にPBCでこしらえた、特定の車両用ツール(治具)らしく
使うときには強度や精度が必要だけども
場合によっては2度と使わないってコトもあるよーですが
素材として丈夫なモノ達なので、次の活用機会を待ってるワケです
で、今回は一番手前のヤツなのかな?(17S材)
コイツを元素材として、加工が始まりました

コレで何を作るかというと
Vmaxマグネットローターの ど真ん中 にスプラグクラッチを配するため
センター出し用のスペーサーが必要なのです

スペーサー作成初期のフィッティング中
後にPBC大将が 詰めすぎた とこぼしてましたが(笑)
ピタピタのクリアランスですな

内径及び外径と厚みをチェックしつつ、加工は更に進みまして

出来上がったのが写真右のリングパーツね

このスペーサーが間に入るコトで
Vmaxマグネットローターの ど真ん中 にスプラグが収まるのよ
まずはこの状態にしてからネジの貫通穴を開けるワケです

でもって貫通穴(6ヶ所)&ザグリを入れたのが上写真
写真の時点でザグリの深さは最小ですが、後にもうちょい掘り下げてもらってます
ココまでの行程が
ちょうど盆休みで田舎に帰省してたコロに完了してまして
早く見せたいPBC大将と
早く見たくてワナワナしてるワタクシが、350kmの距離を挟んで
やいのやいのやりましたっけ(笑)
で、帰宅後ソッコーで引き取りに伺い
その仕上がりにカンドーひとしお・・・ おぉ~っ
PBC大将、ありがとーございましたっ
さ 役者は揃いましたよ どーする?どーする?
とはいえヤマシギ号のスタータークラッチはまだ壊れてない件・・・

過去を振り返ってみますと
どーやら2022年の9月にスタータークラッチは交換してたよーでして・・・
トーゼン、現時点で何ら問題は無いのですが
写真のとーりで・・・ 始めちゃってるよね(笑)

本来であれば 鬼門 になるスタータークラッチの取り外し
どーやら初の取り外しがとにかくタイヘンって感じみたい(個人の感想)でして
脱着が2回以上で規定値のトルクで締めてる限り ダラダダっ で外せるのは
コチラ に詳しく書いてますが
今回もまた ダラダダっ でゴトンと取り外し完了・・・
ココ、壊れてもないのに外すヒトってかなり少数だと思われますが(笑)

そしてついに実現した?
どちらも Vmax用 と言い切れるスタータークラッチが横並びにっ
こーして見比べますと、元々使ってきたマグネットローターの方が
ダイナミックバランス取りで施したであろう穴数が多い件
穴数が多い方がカッコ良く見えるんだけども(違)
ちなみに
PBC大将にこしらえてもらったスペーサーの ピタピタ クリアランスにより
ネジ留めしなくてもスプラグは微動だにしません
何なら組み付けるのに慎重になるくらいピタピタです
無論、ネジ穴もピタピタですので(笑)
組み付け時は真っ直ぐそ~っとってのが鉄則

一応確認ってコトで
ロイヤルスター用のアイドラーギアを仮装着・・・ ん 問題ナシ

コレは後作業になりましたが
マグネットローターとコイル(固定してるボルト頭)の間のクリアランスを計測してみますと
ノギスレベルにはなりますが概ね6.8~7.0mmってトコ
この寸法内にボルトのアタマを収める必要があるワケです

クリアランスを思えば、ザグリの深さは初期のままで問題なかったのですが
超個人的には ツライチ で収めたいキモチがあったので
さらに掘り下げて頂いた次第

でもってスプラグを固定・・・ 嬉しい・・・
ボルトは低頭のSCM435(強度区分10.9)としまして
トルク管理はロイヤルスターに倣ったM8ボルトの基本トルクっす
ネジロック材は中強度をチョイスしました
こーしてじっくり見ますと
純正と同様に、オイルが行き来する穴も生きてますので
オイル切れになる心配はなさそーです

装着直前の一コマ・・・ アイドラーギアを挿してクルクル回してみますと
接触抵抗の少ないVmax純正の方がトーゼン軽いっす
逆に言うと、スプラグには ガシっと 感があるとも言えるのですが
高速回転すればどちらも遠心力で外に動きますので
始動後の回転をジャマしませんから、見た目は大きく違うけど
どちらも ワンウェイクラッチ なのだなぁと改めて実感

マグネットローターにスプラグを組んでしまえば
そこから後の行程は純正と一緒です 規定値でグイっといっとります
ウチでは地面まで届く足の長いメガネレンチ(27mm)を回り止めにしつつ
トルクレンチでエイヤっとね
正しくいくなら、写真のよーな引き上げ方向じゃなく
押し込み方向で カチン といくべきですな
上写真は構図を意識した ヤラセ になります(笑)

そんなこんなで装着完了・・・ おぉ~・・・ 6本締めだ
純正感アリアリだし(笑) モーレツに嬉しいぞ

ま フタしちゃうとなんのこっちゃなのですが
何はともあれ初めての始動・・・ キョドンっ おぉ~~掛かったっ
その後、嬉しくなって10回以上始動させたんですが
直前まで純正のワンウェイクラッチだったため
スプラグとのわずかな違いを実感
ほんとにコンマ数秒のハナシなんですが、アイドラーギアを捕まえる時間が
わずかに早いですね 玉数3対18の違いなんでしょーか 知らんけど
とはいえ、数日後には忘れるレベルの違いですが(笑)
そんなワケで長々となりましたが
ヤマシギ号は6本締めのスプラグ仕様になったぞっていうオハナシでした
コレが 目指せGT化! の一助となるか否か・・・
とはいえ、オススメしてるワケじゃないっす

さんざん書いておいて何なんですが・・・
現時点で皆さんもゼヒっ! とは思ってなくてですね・・・(汗)
今回はワタクシ的好奇心を満たすためっていう始まりで
PBC大将の協力もあって
加工及び装着は無事成功となりましたが
ココから長期(ホントに長期)テストになるワケです
あんな重たいヤツがブンブン回るトコに穴開けたりなんだり・・・
後々壊れないっていう保証はナイわけで、爆発する可能性もゼロじゃないし(爆)
ま 最低でも5年・・・ だな
5年後に再びバラしてモノの状態を検証し、その間の使い勝手等々を加味した後
初めてオススメなのか否かをお伝えできると思われます
ですので、今回は 長期テストが始まったぞっ っていう報告でして
北海道の片隅で、なんだかワーキャーやってるおじさんがいるらしいぞ・・・
くらいの認識でひとつ
あ 上写真は3年前に組んだスタータークラッチを
マグネットローターから外そうとしてるんだけども・・・ コレがなかなかどーして外れん(汗)

というのも
ココのボルトを締結する際、いつものよか強力なネジロック剤を使ったんだけども
コレがまぁ・・・ 超強力だった件(笑)
結局1本だけはインパクトでダラダダっといきましたな
ネジロック剤の選定に役立てばコレ幸い
あと、今回不具合がナイ状態でバラしましたが
スタータークラッチ自体はモロモロ新品レベルのコンディション
3年前とはいえ、そもそも走らせてる距離や時間も知れてるので(涙)
トーゼンと言えばトーゼンなのですが
同時に新品交換したアイドラーギアの鼻先がね・・・
ガタガタってほどではないものの、ツルンとした新品状態でもナイ・・・ ハテ?
ココからはワタクシの想像になりますが
セルモーターを強いヤツにしたのは冒頭に書いたとーり
で、もしかすると ソレ が原因なのかもしれないぞと
セルは強くなったけど、スタータークラッチの成り立ちは純正のまま
だもんで、玉コロへの当たりがより強くなった分だけ
始動力の強化と引き換えに
アイドラーギアの鼻先がダメージを受けるのカモ・・・ とかね
何事もバランス・・・ コレ大事
また、PBCへマグネットローターを引き取りに行った際
偶然、無理難題王カタナ(笑)氏とお会いしたのですが
カタナになるとそもそも純正部品が出ない云々・・・ なるほど
思えばPBC大将の愛機も新品部品が出ないってトコが
スプラグ化の構想に至る一因とも言えるワケでして・・・
そう思うと
Vmaxは確かにマグネットローター取り外しが鬼門ではあるものの
古いオートバイながらも
2025年の時点ではまだフツーに部品が出ますので
それだけで既にアリガタイ状況とも思えましたな
スプラグは確かにいいモノなんですが、機械部品に違いは無いので
不具合が皆無でもナイですし
実際、スプラグを純正採用してる車両でも長期の使用で不具合発生・・・ってのも
web上を見回すとそんな方に遭遇しますしね
そう思うと
純正部品が出るうちはモロモロ交換ってのが最も確実で安価なワケです
ま ワタクシは好奇心に忠誠を誓ったクチですので(笑)
やってみたいに従ったまでってコトでひとつ

はてさて
5年後にどーなってますかねぇ・・・ 楽しみです
っていうか、5年後にこのwebサイトは存在してるのかしら?
そっちの方が・・・(汗)
なには無くとも 走らないと ですなぁ・・・







