CUTTING SEAT PASTING
広範囲の貼り込みは、とにかく下準備が大事っす!
カッティングシートでステッカーを作ることはワリと日常的なものの
いわゆる 水貼り をするのはケッコウ久々
オマケに対象物がバスでステッカーサイズもなかなか大きめ
今回の作業は貼るコトに加え、元々あったステッカーを剥がすコトも重要
実は貼るコトより剥がすコトの方が難しかったりします
だもんで、ちょっと頼りになる道具を考案
さて、作業は無事終わるのか? それとも・・・
今回使用したカッティングシート タックペイント をカンタンに
カッティングシートと言っても種類はかなり多く、ウソのよーに安価なものもあれば、まさかってくらい高価なのまで数知れずあり、シロートはチョイスに迷いますねぇ
ま カッティングマシンに最適化されたロールものなら専門のショップで扱うモノを選べば大丈夫だと思うんだけど、今回紹介するのは特にカッティングマシンに特化した性能と言えるシートです
商品名はリンテックサインシステム製のタックペイント(コンピューターカット用 TKシリーズ)小さな図案や文字をカットした場合にカス取り性能(不要部分の撤去)がとにかく良好 コレは一度でもカス取りをケーケンしたことのあるヒトならカンドーするくらい 写真のmは2mmくらいの高さなんだけど、サクっといけます 厚みは0.08mmと薄い部類で下地の隠ぺい力も高く、耐光性も5~7年ってことなんでかなり高品質と言えますね ま その分お値段もぶっちぎりなんだけどね(笑) とはいえこれだけ性能が高いコトを考えると、文句ナシっす あ コイツを活用するにあたり気をつけなきゃイケナイのは、リタックシート(転写フィルム)に高粘着タイプを使う必要があることです カス取り性がいい分、通常のリタックシートだと図案が拾いにくくなります 今回の作業的にこのカス取り性は重要じゃないんだけど、屋外での使用が主となるんで耐光性を重視した結果、在庫してるコイツのシルバーを使うことに さ~て、いっちょやりますか!
ステッカーを剥がすなら、ゼヒ試していただきたいカンタンツール
一度しっかり貼ったシートは剥がすとなるとなかなかメンドーです 特に高品質なシートは薄いんでなおさらっす 今回は貼る事の復習も重要なんだけど、イマ貼られてるステッカーをキレイ・確実に剥がす作業が先にあり、下地を痛めないような方法を考えました 手法としては心得のあるヒトならご存知のカッター刃を使うってコトなんだけど、できるだけ刃を下地に接触させないよう不織布を刃に貼ってみました
で、不織布とはいえ腰があるものの方がいいんじゃないかなぁと思い、CDを保管するファイル的なものを分解 コイツは通常の不織布より固めだけど、表面はCDを傷付けないくらいに滑らかなんで願ったり叶ったりです また、コイツを貼ることで手で持てる範囲も広くなるんで、作業性も向上するんじゃないかと
作り方はカンタン 不織布の片面に両面テープを貼り、カッター刃を挟むように貼り付ければ出来上がり 刃は ハンドツール で紹介してる薄刃(0.2mm)を使用してます
作るにあたり少し悩んだのは、刃をどの程度覆えばいいのかなぁってこと できるだけ刃を覆えば(横イラストの下)、下地との接触は減るけど刃が立ちすぎて刃先で下地を傷付ける可能性アリ その逆にできるだけ覆う部分を減らせば(横イラストの上)刃先は鋭角になって傷付けにくくなるけど、刃の胴体が接触して傷付くのではないかと
アレコレ考えてもキリがないんで、両タイプを作ってテストすることに 結論から言うと、覆う部分を最小にする(刃先を鋭角にする)バージョンが圧倒的にカイテキでした 刃の胴体がこすれるのでは?という問題は、わずかとはいえ不織布の厚みがある分ほとんど無く、万が一スリ傷が付いたとしてもコンパウンドで消せるレベルだろうと判断しました 逆に刃先が立ってると下地(塗膜)にひっかかりやすくなり、傷付ける確立が高くなりそうなフィーリングでしたね また、薄刃を使ってることで下写真のよーに多少曲げて使うことも可能 コレはヘルメットやバイク車体なんかで使う場合にも有効だね かなり便利だけど、あくまでカッター刃なんで手を切らないよう、取り扱いには注意を
その他貼り付け用に準備したもの
現場での作業を確実にするため、定規をマグネットバージョンにしました ヒトリでやる為、頼りになるのは定規だけっす 貼り付け範囲が1400mm幅くらいあるんで定規は1500mmをチョイス 金尺を直接下地に当てると傷が入る可能性があるけど、マグネットを貼ることでクッション代わりにもなり一石二鳥っす 但し現場では地面などに直接置かないこと 砂鉄を拾ってかえって傷付けちゃうからね 定規端部はあえてマグネットをはみ出させました 定規を外すトキの掴みシロっす
下写真は水貼りのための洗剤水を入れたボトルです 洗剤と水の混合比は1:200程度が一般的だけど、なるべく下地上に水分を張り付かせたいんで、今回は1:100程度としました ウチでは使えそうなスプレーボトルはクリーニングして保管してあって、コイツも元々は家庭洗剤のボトル 先端をON/OFFできるから現場に持っていくときなんかに重宝します
カッティング&予行練習
デザインが確定したんで、本番用のステッカーを作成 サイズは1mを大きく超えるんで、場所によっては2工程に分けてカット リタックシートで一枚状にすることに さすがに1mを超えるとデカイっす・・・ 予行練習用に実寸の 渓 の字もカット
カッティングに関しては HOBBY で紹介してるんでそちらを参考に
モロモロがカットできたらリタックシートを貼り、余計な外周を切り取ります その後切り取った外周の輪郭と文字を反映した実寸データをプリントして(今回はA3ノビで5枚)、全てをつなぎ合せて実際のレイアウト状態を再現し、現場での工程を検討します 文字列の高さやセンターの割り出し等々、必要情報も書き込んでおきました コレが現場での水先案内人的役割をしてくれるハズ!
このプリントシートは、現場でバスのどの位置にステッカーを貼るかを検討してもらうのにも役立ちます
予行練習とはいえトモダチにバスの所有者もいないんで、ウチのクルマでやってみます まずはワックスの除去 現場さながらにコンパウンド(ハード1)で貼り付け範囲をポリッシング その後でとりあえずパーツクリーナーにて脱脂 コレはバスの塗膜に悪影響があるかもしれないんで、シリコンオフや模型用シンナーも持参して、テストしてから最良なもので脱脂することに コンパウンド掛けは表面を平滑にする目的もあります
下準備ができたら洗剤水をスプレーして文字を乗せます 乗せただけの状態だと位置調整が効くんでアレコレ検討 この位置調整ができるってのが水貼り最大のメリットです あとは洗剤水を追い出す工程で気泡の入りも最小になるんで、仕上がりも好結果を得られやすいワケ 広範囲で失敗したくない方にはオススメの工法です
で、ココ!っていう位置を決めたら、ゴムベラなどで文字下の水分を中央から外へを意識しながら押し出していきます 大体押し出せたらリタックシートを剥がします 但し、まだ文字ステッカーは不安定な状態なんで剥がすトキは慎重に!
不安定と書いたのは、文字裏の水分を除去したとはいえまだ湿り気ぐらいは残っていて、下地にしっかり接着されてない場所があるからです ちゃんと押し出したつもりでもリタックシートを剥がすと押しきれてない部分とかがワカルと思うんで、そういったポイントはステッカーの台紙を文字に当て、台紙の上からゴムベラで押し出します
文字に直接ゴムベラを押し当てたりしないよーに!傷付くだけならまだしも、運が悪いと文字がちぎれる場合もアリ (ケーケンあり・・・)
最後にドライヤーでチンチンに熱くならない程度に熱を当て、水分の蒸発を促します
コレでひとまず貼り付けは完了 接着が完全に安定するのに大体常温で一日くらいかなぁ とはいえ翌日は早朝から現場に出発 貼りっ放しで行くワケにもいかないんで、5時間ほど経った後に、先述したステッカー剥がしナイフの使い勝手を検証しつつ、文字の撤去をしました 完全接着した状態ではないからカンペキな検証ではないけど、0.08mmの薄いシートをものともせず、スッと文字の下に潜りました! コレ使える!
前置きが長くなりましたが、いよいよ本番!
前日から工程の見直し&忘れ物チェックをアタマで繰り返しました 毎年通ってるから遠いとは感じないものの、ちょっと忘れ物したからと帰ってこれる距離でもないんで、ココは慎重・・・ だったのに、webページ作りには大切なカメラのバッテリーを忘れた(涙)
だもんで、完成まで紹介できないことを先にお詫びしておきます
とはいえ作業そのものはほぼ予定通りにできました! 途中までだけど、おおよその雰囲気は伝わると思うんで、工程を追っていきます まずは既存のステッカーを撤去 このステッカー、指で触った感じだとなかなかの薄口 淡い緑なのに下地の影響を受けてないってことは隠ぺい力の高い性能 ってことはそれなりに高品質なものと想像できます なので接着力も高いはずだから、剥がす工程をしっかり確立しておく必要がありました ココで早速例のステッカー剥がしが威力を発揮! スッとステッカー下に潜り込み、剥がすきっかけを作ってくれます 指で握れるくらいにステッカーが剥がせれば、あとはつまんで剥がすだけ 時間がかかると思ってたケド、意外と早く終わりそう
ステッカーを剥がすと上写真のとーり、文字の輪郭が残ってます コレはワックスや汚れの拭き取りきれなかったモノと想像します 今回引き受けた理由として、このステッカーを貼ったのがワリと最近だったということもあります というのも仮に貼ったのが3年前だったとしたら、おそらくステッカーが貼られたトコとその周囲で下地の青が違っていたから(紫外線等による退色)、ステッカーを除去しても文字のカタチは消せないんで、自分レベルのスキルではどうすることもできません 軽度ならコンパウンドで目立たなくすることもできるだろーけど、全体を磨き上げないと青がムラになって見えるからね
まずは下地作りのため、コンパウンドで軽く全体を慣らします この段階で先ほどの文字輪郭は撤去 新たにステッカーを貼る範囲の塗膜に異物がないかをチェック 新規ステッカーはシルバーなんで下地の凹凸が目立つから、ココは慎重に とはいえバスは乗用車のよーに機械塗りされてないのか、凝視するとポツポツと砂粒くらいの異物があります 中にはハケの毛?ごと塗りこまれてるトコもアリ こうなるとどーか文字と重なりませんよーに!と祈るしかないっす しっかりとした手順を踏むなら、まずは下地の青を準備しておいて、こういった異物をサンドペーパーなどで除去 青が剥げたとこをレタッチしてからステッカーを貼るってのがプロの仕事だろーけど、それこそ2~3日かかる作業になるから、バスの稼動状況を思うと現実的には厳しいっす だもんで、あらかじめ用意しておいたプリントシートを貼り付け、確実に文字と重なりそうな異物をチェックして、文字で隠れるとこだけはカッター刃で異物を除去しました ひとしきりコンパウンドがけが終わったら、シリコンオフで油分を除去 拭き残しがないのをしっかりチェックしたら、下地の準備完了!
ココで小休止
作業を行った場所は、かなり大きいバスが2台すっぽり入る車庫だったんだけど、なんかもう作りがスーパー好みで、屋根を構成するアーチ状のトラスワークが超カッコイイ! 天井の板貼りって曲げてるのかぁ?!とか、バスの下地調整が完了したことで少し肩のチカラが抜けたのか、やたら車庫が気になり始めました(笑)
肉眼で見えないトコはデジカメのズームで寄ってみたりして、鉄骨の収まりを確認・・・
親柱をもうちょいタフにすれば中2階の空間も作れそうだなぁと妄想 ただ、この妄想タイムが良くなかった・・・ カメラのバッテリーをほとんど使ってしまったのだぁ(涙)
充電しておいた予備バッテリー・・・ 自宅の充電器に刺さったままだ・・・
バッテリー残りがわずかとなり、急激に貼ることとは違うキンチョー感に襲われつつ、貼り付け準備を開始 バスに対して水平軸を設定するのはケッコウ難しかったです 最初は窓枠から基準を拾おうと考えたんだけど、思いの外まっすぐじゃないんだねぇ だもんで、下を走るストライプから採寸 プリントシート天端がカッティングシートの台紙と同位置なんで、そこに沿わせるようにマグネット定規を貼り付け 色んな角度から定規を眺め、確実に水平なのかをしつこく検証 ココが全ての基点になるから、そりゃもう何回もね 定規位置が確定したら、ステッカーを台紙から剥がして準備しておき、貼り付け面に洗剤水を吹いてからステッカーを貼り付け! 今回のデザインは中揃えなんで、定規上に中心点をプロットしておき、そこにステッカーの中心を合わせて貼りこんでいきました
下写真の状態だとロゴが上過ぎる気もするんだけど、最終的には下に電話番号が入るんで、バランスは取れてるんです(証明するすべがナイ・・・) と、工程写真はココで突然ストップしてしまうんだけど、付け焼刃にしてはちゃんと貼れた(ハズ)です
せめてレイアウトだけでもってコトで、提案時のプランを見てください
今回採用したのはデザイン案のA(中揃えパターン)
隷書系のメインロゴとセンチュリーゴシックの変形モノをフォントとして使ってます
他の案ではフォントをホテルっぽい?ゴシックや基本的なゴシックを取り入れつつ
レイアウトの違いでバリエーションを検討しました
とはいえ、たいていこういったデザインは最初に思いついたのがイチバン良かったりしますね
ココで業務連絡 もし貼ったステッカーに問題が発生したようでしたら
すぐにご一報ください! 駆けつけて修正します!
実際にやってみて
このくらいまでのサイズなら、下ごしらえさえ怠らなければヒトリでも貼れることを確認しました
更に大きくなったとしても、手順次第でイケるのではないかと
あ 貼り込み工程が長くなるから、撮影するなら予備バッテリーを忘れずに(笑)
最後に
作業工程の公開を快諾してくれた ホテル渓谷様 尻切れな内容になりましたが(汗)
ご協力、感謝します!
追記
後日、濁川のお母さんに実車の撮影をしてもらいました!
完成はこんな感じです
お手数かけました!(感謝っす)